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ユヌス氏までがNPOを誤解?!

2012-08-03

先日、新聞でムハマド・ユヌス氏へのインタビュー記事を読んだ。

記者からの質問1.ソーシャルビジネスと一般的な企業活動との違いについて
「利潤追求&配当を目的とするのではなく、回収した資金を次のソーシャルビジ
ネスへ投資することが大きな違い」

同2.それはNPO?
「ノー。NPOは寄付ベースで事業をするが、ソーシャルビジネスは、事業による
売上ありきでそれを元手に次の事業の展開をする」

というやりとりだったので、
異議あり!!!

ずっと前からよく言っていることだが、そもそもNPOは「Non profit
Organization」とするから誤解があるのであって、真は「Not For Profit
Organization」なのである。
http://www.env-r.com/blog/staff2/2009/06/21/npo/index.php/0/cat67/cat77/

利益を目的としないのでは無く、「最終的な目的が利益では無い!」ということ
だ。

NPOとして禁じられているのは、利益を取ることではなく、取った利益を分配す
ることのみ。他社への投資だって、それがNPOの本業に関わることなら認められ
ている。投資で被った損害だけは処理が複雑だが。。。

「非営利」という言葉からは、対価をとらずに無償で活動を行う、即ち、寄付や
補助・助成、会費のみで事業を行うという誤解が蔓延しているが、組織的に継
続して社会貢献活動などを行っていくべき存在であるため、いかにして活動資金
を確保するかが重要な課題。故に、日本のような寄付文化が育たない制度下にあ
り、かつ金融機関から融資を得られにくいNPO組織では、特に収益事業での資金
調達が重要なのである。

だから、ソーシャルビジネスの受け皿は、株式会社であろうともNPOであろうと
も関係ない。

株式会社が長い経済史の中で、「利潤追求」そのものが最終目的のように断定さ
れている中、私がNPOの選択肢を選んだのは、正にユヌス氏が言うように
「利潤をすべて・株主等への遠慮もなく・次の事業に使い切る」ことが可能
で、とてもシンプルな仕組みであったからだ。だから政策的意味合いの強いプロ
ジェクトはすべてNPOに担わせ、その他事業は株式会社で担っていくというスキー
ムを建てた。

ところが、特に日本ではこの誤解が甚だしく、これを暗喩して、ユヌス氏が
「NPOは寄付ベース」と言っているのなら仕方ないが、ソーシャルビジネスの器
としてホンキでNPOが相応しくないと思っているなら、大きな間違いだ。そもそ
も各国でNPOを育てる意味が無くなる。

まあ、NPOへの甚だしい誤解も長年続き、挙げ句制度も中途半端なものしか整っ
ていないので、いっそのことNPO法を改正して「NPOは寄付だけで活動しなけれ
ばならない。そのための寄付税制だけはしっかり整備するから寄附金をたっぷり
集めて頑張れ。」とでもした方が、分かり易いと言えばわかり易いが。。。
https://suzukiatsuko.com/archives/46
その場合、優良なNPOとそうでないNPOとをしっかり見分けるための制度も必須だ。
今は、収益事業を営めるくらいの経営センスがなければ、少なくとも長期的なNPO
運営はできていないが、容易く寄附金が集まる制度下に置かれれば、更に烏合の衆化
してしまう。


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