Blog /ブログ

森が「始めの一歩」 そこからの正しい道しるべを期待

2010.
10.29

環境問題を突き詰めれば、必ずや矛盾に突き当たる。

緊急度からすると「食」や「安全」には敵わないし、時間軸で見ると他のテーマ
とは比べ物にならない長期スパンで捉える必要があり、25年先などは序の口、
100年1000年先の話まで当たり前のように視野に入れないとならない。

食と安全を確保することは政策の基本中の基本であり、とすると人間の命が一番
大事だというスタンスなのだが、方や地球史レベルの雄大な時間軸で捉えた環境
政策ならば、人類など存在しなければ、少なくとも今問題となっている環境問題
はクリアになる。(^^)ゞ

森林再生を語るとき、必ずや出てくるのが「原生林に近い形が一番」という誤解。

すべての森には歴史があり、その歴史は人類と供に紡いできた。
今回のツアーでも北大の吉田先生が言っていたように、人とあまりにも深く関っ
てきたために積極的に人の手を入れなければ自律できない森もあれば、なるべく
人が踏み入らない方が良い森もあり、事情はさまざまだ。

環境リレーションズ研究所では、森林保全・再生活動を「森林循環」と言ってい
る。森林を「点」としてではなく「面」で捉えて活動を進めてきたゆえんだ。

森林だけが善くなったってなにも変わらない。
荒廃している森林は「森さえ善くなれば」という視点で手を入れたなら、その森
はまたいずれ荒廃していく。

荒廃しないための仕掛けまでも織り込み、国レベル、いや地球レベルの財産を時
空を超えて上手く循環させるのが、PresentTreeのタスクだ。

だから、

1.はじめは「気の利いた贈り物」として目に付き参加し、
2.そこに「自分が関与する樹」が植わっているという愛着が沸き、
3.いずれその森全体に思いが至り、
4.森に行きたくなり当地を訪れ、
5.当地の人たちとも縁が生まれ、
6.当地の賑わいや経済的活性化にも寄与するようになり、
7.故に森も潤い続ける

という好循環を目指している。

=>ツアーにご参加いただいた皆様
環境問題への取り組みの第一歩は、なんといっても「興味」です。
PresentTreeの参加者約11万人は、その多くがPresentTreeをスタートしたこと
で、環境問題への興味を開眼させた人たちです。

その人たちが数々の矛盾の中で迷わぬよう、道しるべとなってくださればとても
嬉しいです。(^_^)


鈴木敦子 ■admin ■comments (0)

森林インストラクター合格しました!

2010.
10.25

森林再生を続けている身として、現場で培った知識や経験はあれども、本来の林
学ほどのものではないし、今のところ悲しいかな、林学専攻する時間も無い。。。

実績が伴ってきた現在はそれほどでもなくなったが、活動当初は林業の専門家た
ちからかなり馬鹿にされた。本当に「馬鹿じゃないか」となじられた事がある。(ーー;

林業が奮わぬエリアに、従来とは違う森の価値を見出し、そこに善意の資金を調
達してくるというごく単純なスキームなのだが、これで地元の林業従事者へ労務
費が払えるし、林業で生業を立ててきたエリアゆえ林業が廃れればエリアそのも
のが廃れるので、そこに不特定多数の市民の興味を集め、かつ定期的に視察ツアー
に入るという、ある意味当該地における地域活性の最適手法だと自負していた。
もちろん今もそうだ。

ところが、契約関係があいまいになるとかいって不特定多数の市民が関与するこ
とも気に入らなかったらしいし、善意の資金がどこに生かされているのか?を見
えるようにするために「一本ごとの管理」をするのが「信じられない」というこ
とだった。林業は「面積と材積で管理するもの」だからという。

でも、それが成り立たなくなったのだから、新たな仕組みを考えるのがビジネス
の正攻法でしょう?(^_^;)?

そんなこんなで、当団体一丸となりつつ孤軍奮闘しながら今がある。
現在、我々のPresentTree活動は、林業界からも支持者を獲得することができ、
熊本県球磨村組合、山梨県中央組合、宮崎県西諸地区組合、などの柔軟な理解あ
る地元森林組合たちが支えてくれている。(^_^)

そもそもの課題は沈静化しつつあるのだが、そうはいっても、やはり説得力ある
発言を心掛けねばならぬ立場だし、なにかよい発言の担保方法はないものかと、
森林インストラクターの資格をめざした。

昨年のお盆休み、産後初の夏休みだったこともあり、いつものように仕事オンリー
にはなり得なかったのを口実に、とりあえず一週間の養成講座を受けた。

その数週間後に試験があり受けたが、四科目中2科目しか合格しなかった。いく
ら下知識があってもやはり一週間の講座だけではダメなのだ。合格率二割を甘く
見た罰が当たった。

今年、残りの二科目をチャレンジした。漸く合格。

学校受験でもなんでも本番に強いといわれてきた私としては、悔しさ千万だった
のだが、お陰で分かったことがある。

初回受験時はとにかく講座の中身に忠実であろうとしまくった。即ち自身の回答
ではない。暗記物に近い上っ面な内容しか書けない。
今年は、講座の中身はほとんど忘れていたので、それよりも今までの森林再生活
動の体験に基づくことしか記述しなかった。それが功を奏していると確信してい
る。

多分、林学のエキスパートであるというだけでは森林インストラクターの試験は
簡単には受からないと思う。
確たる実績に基づいた中身のある回答を求められている。

よい資格試験だとつくづく感じた。

これから受験を検討している皆さん
現場経験を積んでください。それが何よりの合格への近道です!(^_^)v


鈴木敦子 ■admin ■comments (1)

表現力

2010.
10.14

先週、「ミナマタ エコツーリズム宣言」に参加してきた。前後の予定が詰まっ
ていたのですべては聞けなかったが、来賓には環境大臣以下そうそうたるメンバー
たちが集まり、皆気合の入ったプレゼンをしていた。

そんな中で、きらりと光っていたのが、

「アカテガニは普段は陸で生活しているが、大潮の夜、満潮の時間に合わせてメ
スが産卵のため海岸に来る。海と森がつながっていないと生きていけない生き物。
人間も本来そうだった。水俣は今でも海と森がつながっている。」

との水俣自然学校の紹介の際のフレーズ。刺さった。(^_^)

プレゼンターは水俣自然学校の小里さん。この人の表現力にはいつも感心させら
れる。

うちは、ことばの表現力を視覚で補完する。
森林再生事業の一環である、「環の箸」プロジェクトでは、書家の宇佐美志都さん
に揮毫いただいた。

彼女の文字の表現力もこれまた絶品。

先日も、彼女の書がCOP10名誉大使のMISIAさん経由で国連事務局に寄
贈されていた。
http://www.unmultimedia.org/tv/webcast/2010/09/press-conference-by-the-convention-on-biological-diversity-cbd.html

どんなに立派な講演などでも、一月経つと8割の人は忘れるという。主催する事
務局担当者ですら覚えていないとか。(^_^;)?

琴線に触れるべく表現力の切磋琢磨がプロジェクトの成否を左右する。


鈴木敦子 ■admin ■comments (1)