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市民を集める仕掛け
04.23
市民参加型の森林再生活動「PresentTree」の参加者数、直近の集計ではお陰様で69,551人。(2010年2月末日現在)
この仕組みについての問い合わせが、最近富みに多い。
環境ブーム的な風潮に加え、更に今年はCOP10があり生物多様性保全が注目さ
れる中、その1つの手段として森林再生を掲げる企業が多いせいでもある。
2005年1月からスタートしているこの活動は、早いもので先般国内9か所目の協定に
調印した。http://eba-er.jugem.jp/?eid=106
新しいPresentTreeの森は「はなの森」と命名。ちょうど今苗木を植えていると
ころで、5月8日(土)には植栽体験ツアーも予定している。
「市民参加型」などというと聞こえがいいが、植栽を必要とする森(植栽放棄地
や風倒木被災地、焼失地、木くい虫被害地など)に、「贈り物」のタイミングで
相手の名前で苗木を植え、そのまま10年間(エリアによっては20年間)、
「植えたからには一緒に育てていきましょう!」と、森として自立するポテンシャ
ルが上がるまで面倒を見てもらうという、言うなれば「囲い込み」をしてしまう
のである。(^_^;)?
ただ、よくある消費財などでの囲い込みと違い、森林再生のために「囲い込まれ
た人たち」は、それを嫌がらず、むしろ喜んでくれている。
最初は、「得体の知れぬプレゼントが届いた」といぶかしく思っている人たちも、
しばらくすると必ず「私の樹を見に行きたいのですが」となる。
「私の樹」は識別できるように、一本ごとに管理していることもポイントだ。
いろいろな団体が森林再生や植林を手掛けているが、うちのように長期的なスキー
ムを組んでいると、自ずと「おたくのNPOが無くなったらどうなるの?」という
懸念にたどり着くので、PresentTreeの場合、主催である我々(NPO環境リレーショ
ンズ研究所)と
・森林所有者
・当該森林を管轄する自治体
・施業者(実際の森林管理等の施業を行う森林組合など)
との最低限4者で協定を結んで進めている。
こうすることで、「たとえ我々が倒れても」どこかが約束通り森林再生活動を継
続していくこととなる。(^_^)v
この仕組みの構築は簡単なように見えるが、実はここにたくさんの時間を費やし
てきた。
最近では、いろいろな県で「企業の森づくり」を進めているが、これとの大きな
違いは、「市民という個人」が当該エリアの森林再生に関与するという点。だか
ら、4者協定も各主体が敬遠しがち。企業の森のようにその企業だけでのクロー
ズドな活動なら安心でも、不特定多数の個人がかかわってくるのが不穏らしい。
だが、これこそがPresentTreeのメリットなのである。
企業が自社だけで粛々と進めている森づくりは、日の目を見ないことが多い。
企業内でも、CSRや環境部等、直接関係する部署以外の社員へ知られていないこ
とすら少なくない。
多くの人たちが全国から当該エリアの森林再生へ参加し、見届ける。
ゆえに、地域活性にもなり地元のモチベーションもあがる。
たくさんの監視の目が張り付いているので、途中でなどやめられないし、不適格
な行為はセーブされる。
だから、協定を結んだうえでの連合スキームは、PresentTreeでは妥協しない。
最短でも各所スキーム構築に1年は費やしてきた。
時間をかけて、このスキーム作りのための地元との調整その他のノウハウを蓄積
している。これが、我々の最大の武器でもある。
ところが、今回の「はなの森」は、なんと!
最初の候補地視察からわずか2ヶ月間で協定調印。
山梨県と県の森づくりコミッション、笛吹市、中央森林組合のPresentTreeへの
理解と賛同が大きい所以である。
そして、「企業の森づくり」で19件の実績を持つ山梨県では、ある企業との単独
協定のもとに進めていた案件が、倒産により頓挫した苦い経験を持つ。
合理的な環境政策を願う
04.18
「家庭の省エネ施策に、世帯年収1000万円以上は反応しない」
先日、株式会社 環境エネルギー総合研究所の大庭さんとランチをした際に聞い
た話。彼女は長らくコンシューマーのエネルギー消費動向調査をあらゆる角度か
ら仕掛けていて、この分野で困ったときに、私は真っ先にアドバイスを仰ぐ。
(^_^)
実際のところ、家電ecoポイントなどの制度も年収1000万円以上の家庭には効い
ていないようだという。
恵まれている生活環境ゆえ、もともとの消費エネルギーも大きい上、ちょっとや
そっとのインセンティブには反応しない層。
よく分かる。周りを見ていても、昨今の不況下「そこそこ恵まれている」家庭の
人たちは、食費や光熱費を切り詰めたりしているそぶりは殆どない。
「それほど恵まれているわけではない普通の生活レベル」の人は、逆に不況下で
なくても常に食費や光熱費を気にしているように見受けられる。
大庭さん曰く、「年収1000万円未満の層は、放っておいてもその時々に節約志向
が働く。だから特に家庭のエネルギー政策では、この年収1000万円以上の世帯層
を動かす有効な策が必要なのに、それが今のところ無い」という。
ことあるごとに政策サイドに向けてこの点を強調するらしいが、
「年収1000万円なんて!」と取り合ってはくれないそうだ。
年収1000万円というと、今の日本では中産階級の上くらいか。共働き世帯の年収
で最も多かったのが1000万円以上、というリサーチ結果もある。
そしてなによりも、エネルギー消費の母数が大きい層なのだから、ここを動かす
のが肝要。
日本の環境政策に感じるのは、それが情緒的に進められることが多いこと。
効率的なインパクトよりも、「みんなで一丸となって取り組もう!」という精神
的視点ばかりが重視されている気がしてならない。
かつて、あるクライアントが「ラベルを剥がさなくてもそのままリサイクル」で
きるというインクを使ったPETボトルを採用しようとしていたが、お役所から速
攻でNGのお達しが。
その理由がまぎれも無い
「せっかく国を挙げてPETボトルのラベルとキャップをはずす行為を浸透させ始
めている中、水を差すようなことになる」
からだ。(^_^;)?
これでは「環境と経済の好循環」には程遠いと思った一件だったが、今でもそう
思わされることは少なくない。
国民的ムーブメント作りが成功すればそれが何よりなのだが、「動かない層」に
は効率的に動く仕組みをドラスティックに組み入れていくのは、正攻法だと思う
のだが。。。